海洋からの稀少金属等の回収 海洋からの稀少金属等の回収 背景 海水中には,様々な物質が溶け込んでおり,総資源量では陸上よりも多い. 海水中に存在する元素の濃度は希薄であり,陸上資源の回収とは異なる新たな技術が必要である. 現在,実用回収されているのは,塩化ナトリウム(食塩),塩化マグネシウム(にがり),臭素,ヨウ素などがある. ウラン,リチウムも実用化に向けた研究が行われている. 当研究所では,特にリチウム回収の研究を行っている. 回収方法の種類 吸着法 :選択性を示す吸着材に吸着させる.希薄資源の回収に向く. 溶媒抽出法 :海水と混じり合わない溶媒を加え,特定成分を溶かし出し抽出する. イオン交換法 :特定物質が,イオン種の入れ替えを行う現象を利用する. 生物濃縮法 :生物が,取り込んだ物質を生体内に蓄積する現象を利用する. 共沈法 :単独では沈殿しない物質を,他の物質で誘発して一緒に沈殿させる. 浮選法 :特定物質を気泡に付着させて分離する. 海洋エネルギー研究所 リチウム回収装置 [リチウム回収装置ページへリンク] 海水中の希少金属 希少金属名 記号 含有率(ppm) 推定全量(億トン) ストロンチウム Sr 8.0 109,600 ホウ素 B 4.6 63,020 リチウム Li 0.17 2,330 リン P 0.07 960 バリウム Ba 0.03 410 イリジウム Ir 0.02 270 モリブデン Mo 0.01 140 ウラン U 0.003 40 バナジウム V 0.002 30 マンガン Mn 0.002 30 チタン Ti 0.001 10 イットリウム Y 0.0003 3 コバルト Co 0.0001 1 参考文献 1. 吉塚和治,「海水からの実用的リチウム回収」,日本イオン交換学会誌Vol. 23, No. 3 (2012),pp. 59-65 2. 吉塚和治,近藤正聡,「海水からのリチウム回収」,プラズマ・核融合学会誌 87(12) (2011),pp.795-800