潮流発電
潮流発電は、潮流の運動エネルギーをタービンの回転エネルギーに変換して発電する方式である。潮流は、潮汐によって起こる水平方向の流れであり、潮の干満によってほぼ規則的に流れるため、近年、予測可能で安定的な再生可能エネルギーとして注目されている。潮流は、多くの場所で1日に4回あるいは2回流れ方向が変化する。エネルギー変換装置には、風力発電と同様、タービンの回転軸が流れ方向に対して水平である水平軸型と回転軸が流れ方向に対して垂直である垂直軸型とがある。水平軸型にはプロペラ形、垂直軸型にはダリウス形やサボニウス形があり、プロペラ形は高効率、ダリウス形やサボニウス形は流れ方向を選ばず発電できる特徴を有する。我が国では、1983年に日本大学の木方靖二教授のグループが愛媛県今治市の来島海峡においてダリウス形水車を用いた海洋実験を行い、世界で初めて潮流発電に成功した1)。また、2008年に九州大学の経塚雄策教授のグループは長崎の生月大橋においてダリウス・サボニウス混合水車を用いた実海域実験を行った2)。Table 1は、海外の潮流発電システムの事例を示す。
Table 1 海外の潮流発電システムの事例
装置名 |
製造(運用) |
発電機容量 |
設置海域 |
設置年 |
Sea Gen 3) |
Marine Current Turbine |
1,200kW |
Strangford Lough, Ireland |
2008 |
Uldolmok TCP Plant 4) |
KORDI, MLTM |
1,000kW |
Jindo, Korea |
2009 |
HS300 5) |
Hammerfest Strom |
300kW |
Kvalsund, Norway |
2003-2009 |
RTT 6) |
Lunar Energy |
1,000kW |
EMEC, Scotland |
2008 |
参考文献
1. 木方靖二, 塩野光弘, “来島海峡におけるダリウス形水車による潮流発電”, 電気学会論文誌D, Vol.112-D, No.6, pp.530-538, 1992
2. 経塚雄策, 明宏幸, 浦方悠一郎, “潮流発電用ダリウス・サボニウス混合水車の発電特性について”, OTEC, Vol.13, pp.25-32, 2007
3. Marine Current Turbine website(http://www.marineturbines.com/)
4. Chul Hee JO, Kang Hee LEE & Yu Ho RHO, “Recent TCP (Tidal Current Power) projects in Korea”, SCIENCE CHINA, Vol.53, No.1, pp.57-61, 2010
5. ANDRITZ Hydro Hammerfest website(http://www.hammerfeststrom.com/)
6. Lunar Energy website(http://www.lunarenergy.co.uk/)
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