海洋深層水 (Deep Ocean Water)
地球上に存在する水のうち、約97.5%は海水、残りの2.5%は淡水である。海洋深層水は、太陽光の届かないおよそ200~300m以下の深海に存在する海水であり、以下のような特徴がある。
(1) 低温安定性
真相の海水は表層の海水に比べて温度が低く、年間を通じてその温度はほとんど変わらない。表層の温かい(軽い)海水と混ざり合うことがないため、深層水は低温に保たれる。
(2) 富栄養性
太陽光が届かないため、植物性プランクトンなど光合成を行う生物がほとんど存在しない。したがって、それらを捕食する動物性プランクトンなどもほとんど存在しない。そのため、海洋深層水には、リンや窒素などの無機栄養塩が豊富に含まれている。
(3) 清浄性
深層水中の細菌数は表層水の千分の1から1万分の1と非常に少なく、化学物質による汚染の危険も少ないため、清浄性が高い。
日本国内における海洋深層水の利用状況
日本列島周辺においては、海溝が存在する太平洋側のみならず、日本海側にも海洋深層水が存在するため、海洋深層水の揚水に適した場所が多数存在する。1989年、高知県室戸市に日本初の海洋深層水取水施設が完成して以降、日本各地に海洋深層水取水施設が建設されている。
日本国内の海洋深層水取水施設
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取水管長 |
取水量 |
取水深度 |
管径 |
1 |
知床らうす深層水取水施設 |
2817m |
4560m3/日 |
356.3m |
268mm |
2 |
岩内湾深層水取水施設 |
7769m |
3000m3/日 |
300m |
268mm |
3 |
熊石海洋深層水総合交流施設 |
4400m |
3500m3/日 |
343m |
270mm |
4 |
佐渡海洋深層水利活用施設 |
3663m |
1200m3/日 |
332m |
216mm |
5 |
能登海洋深層水施設 |
3700m |
100m3/日 |
320m |
75mm |
6 |
富山県農林水産総合技術センター水産研究所 |
2610m |
3000m3/日 |
321m |
250mm |
7 |
滑川海洋深層水分水施設アクアポケット |
2590m |
2000m3/日 |
333m |
225mm |
8 |
入善海洋深層水活用施設 |
3308m |
2400m3/日 |
384m |
250mm |
9 |
東京大学新領域 伊豆大島深層水取水施設 |
2071m |
500m3/日 |
512m |
100mm |
10 |
株式会社ディーエイチシー |
5516m |
1000m3/日 |
800m |
200mm |
11 |
駿河湾深層水利用・研究施設 |
3300m
7300m |
各2000m3/日 |
397m
687m |
200mm
225mm |
12 |
みえ尾鷲海洋深層水アクアステーション |
12438m |
2885m3/日 |
415m |
280mm |
13 |
高知県海洋深層水研究所 |
2650m |
920m3/日
(460m3/日×2本) |
320m
344m |
125mm |
14 |
室戸海洋深層水アクアファーム |
3125m |
4000m3/日 |
374m |
270mm |
15 |
こしき海洋深層水株式会社 |
4000m |
400m3/日 |
375m |
130mm |
16 |
沖縄県海洋深層水研究所 |
2470m |
13000m3/日 |
612m |
280mm |
(出典:海洋深層水利用学会ホームページ)
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