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潮流・海流エネルギー分野の研究

 

潮流・潮汐発電に関連する研究

1. 相反転方式発電装置(Counter-Rotating Type Power Unit)の開発

1.1 相反転方式

金元敏明特任教授によって発明された相反転方式は、二段の羽根車/プロペラ/ランナと内外二重の回転電機子(厳密には界磁と電機子)がそれぞれ連結され(Fig.1)、羽根車と発電機が連携プレーすることを意味している。二重の回転電機子は互いに逆方向にトルクを釣り合わせながら(作用反作用)回転し、両羽根車は流れの角運動量変化が相殺されるように相反回転する。このため、単段羽根車からなる従来方式に比べて次のような優位性を発揮する、優れた才能を持っている。

 

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Fig.1 Concept of counter-rotating unit (downstream type)

 

(a) 小型化:磁界を切る相対速度が速くなるので、発電機径の縮小、起電圧の増加、極数の減少、回転速度の減少(キャビテーション対策に有利)を可能にする。

(b) ワイヤ1本で簡単に係留:回転トルクが相殺されて外部に反作用が働かないので、頑強な据付けベッドを必要とせず、海峡などにワイヤ1本で簡単に係留できる簡易大容量発電をも可能にする(Fig.2)。

 

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Fig.2 Tidal stream power unit moored with one cable (downstream type)

 

(c) 流れを乱さない:羽根車間の角運動量変化の相殺により下流に旋回成分を残さず(軸方向流入流出)、自然の潮流/海流を乱さない。

(d) いかなる海洋環境にも適合:トルクが同じであれば、回転速度の選定は任意であり、いかなる海洋、水環境にも容易に対応できる。

 

1.2 潮汐発電への展開

軸方向流入流出が得られるので、干満差(落差)を利用する潮汐発電に本ユニット1台で対応できる(Fig.3、一般には据付け方向を変えた2台の機械で対処)。実験室段階で得た単位相対回転速度N11に対する水力効率ηhをFig.4に示す。前後段ランナ(羽根車)それぞれの水力効率ηhは羽根枚数(Dに続く数字)によって異なるが、全体の水力効率は両者ともほぼ同じ値となり、本方式が双方向流にも有効であることを裏付けており、実用化に向けて形状などの最適化を進めている。

 

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Fig.3 Counter-rotating type tidal range power unit (bidirectional stream type)

 

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Fig.4 Hydraulic efficiency at the bidirectional flows

 

1.3 潮流発電への展開

相反転方式の優位性が国内外で認められていることもあり、平成25年度から国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の受託として4企業2大学で、相反転プロペラ式潮流発電ユニットの実用化を目指した要素研究を進めてきた。その集大成として平成29年10月、長崎湾において実海域曳航実験を実施した(Fig.5,6,7)。安全かつ安定運転を確認するとともに、高い発電効率をマークし(Fig.8、λ:相対周速度比、ω:回転角速度、T:回転トルク、CP発電力係数)、世界のトップグループに仲間入りした。引き続き、発電ユニットの設置技術開発、メンテナンス技術開発、電力の安定化技術開発など、実用化に向けて邁進している。同時に、魚養殖場や橋などの街灯の電源としても役立つよう、姿勢の安定化が極めて難しい係留方式(Fig.2)の実現に向けた開発研究も進めている。

 

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Fig.5 Verification tests at Nagasaki Bay

 

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Fig.6 Submerged power unit (generating power)

 

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Fig.7 Counter-rotating type tidal stream power unit (upstream type)

 

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Fig.8 Performance of counter-rotating type tidal stream power unit in verification tests

 

1.4 陸上技術との融合

海洋に止まらず、陸上でも優位性を発揮している。実用化されたマイクロ水力発電ユニット(Fig.9)については下述のポンプ水車への技術移転、風力発電ユニット(Fig.10)については潮流、潮汐とのハイブリッド化を念頭に置いた洋上風力への適用技術開発を進めている。また、変動があり高品質な電力確保が期待できない潮流、潮汐、洋上風力資源に活路を与えるため、相反転方式ポンプ水車(Fig.11)を導入する瞬時電力安定化システムの構築も進めている。

 

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Fig.9 Operation at a ground still of counter-rotating type hydroelectric unit

 

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Fig.10 Expanding into offshore wind power plant

 

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Fig.11 Power stabilizing system with counter-rotating type pump turbine

 

 

2. 集流装置付き潮流発電装置(Tidal Stream Power Unit with Flow Collector)の開発

本センターで開発する集流装置付き潮流発電装置(Fig.12)は、左右対称の形状をなすことで潮流の往復流において発電を行うものであり、タービンの回転面を水流方向に向けるヨー制御のための可動部がなく壊れにくい特徴を有する。また、本装置は風力発電用に開発されたつば付きディフューザから着想を得た集流装置を有し、タービンには振動水柱型波力発電用に開発された固定案内羽根付き衝動タービン(Fig.13)を採用し、水用としての適用の可否を検討した。
 

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                     Fig.12 Model with flow collector

 

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     Fig.13 Impulse turbine


潮流タービン模型は、全長2.5m、幅1.0m、水深0.7mの回流水槽観測部(Fig.14)に設置し、上流部の流速を一定に保って、衝動ロータの回転速度を段階的に変更して実験を行った(Fig.15)。本回流水槽は、2インペラ方式垂直循環型で、表面加速装置、気泡除去装置および制波板を有し、0.1m/s~1.5m/sの範囲で流速を設定できる。

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Fig.14 Test section

 

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Fig.15 Arrangement of test device